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STEMONスタッフのご紹介|河本敏志

2018.05.16

こんにちは、ステモン事務局の緒方です。最近は夏の気配を感じる暑さになってきましたね。

本日のブログでは、最近ステモンに加わってくれたメンバーをご紹介します。今日ご紹介するメンバーは「河本敏志-かわもとさとし-」です。知る人ぞ知る有名人! それは河本の経歴などをみていただくとわかると思います^^

早速本人からの自己紹介記事をアップしますので、ご覧になってください。

 

 

FIRST LEGO Leagueの最大の魅力はプレゼンテーション

 

4月よりSTEMONメンバーとなった河本です。よろしくお願いいたします。

 

私は非営利の任意団体を立ち上げ、長らくFIRST LEGO League(以下、FLL)というLEGO社のマインドストームを使ったロボット競技会に出場するチームを指導してきました。

このFLLの面白いところは単なるロボット大会ではなく、3つのプレゼンテーションを行うところです。プレゼンテーションは以下になります。

 

 

 

  • プロジェクトプレゼンテーション

毎年異なる社会が直面する問題(例えば、エネルギー、高齢化、食の安全性)が掲げられ、科学的なアプローチでその問題についての解決策を提案、実践、考察する。

 

  • ロボットデザインプレゼンテーション

チームのロボットに関するプレゼンテーション。ロボットの独創的な点や、開発中に生じた問題をチームとしてどのように乗り越えたか等を発表する。

 

  • コアバリュープレゼンテーション

チームのコアバリューに基づきどのようにチームを構築し、どのような活動をしてきたかエピソードを交え発表する。海外大学(特に米国)進学で求められるエッセイの考えに近い。

 

FLL公式ホームページ

日本語:https://firstjapan.jp/program/fll/

英語:http://www.firstlegoleague.org/

 

 

FLLを通じて感じた日本の教育の課題

さて、このFLLに挑戦する子どもたちを指導していて気になることがありました。まじめに議論する場で子どもたちは自分の考えを発言しないことです。特に上級生になればなるほどその傾向が強まります。

 

なぜでしょうか?

 

自分の発言が正しいか、正しくないか、つまり正解か否かを常に気にしているように感じられます。

学校での学びは教育効果が測定されなければならず、そのため正解が用意されています。学校にどっぷり浸かった子どもたちは、自分の考えが正解か否かをまず考え、自由に自分の考えを言うことができなくなっているのではないでしょうか。

また他人の意見を聞くときも、正しいか正しくないか批判的になり、まずは聞き入れるということができなくなっているのではないでしょうか。

 

しかし、現代社会は劇的な変化の中にあり、正解のない問題ばかりです。このような社会にこれから飛び込んでいかなければならない子どもたちが、正解のある学びだけで大丈夫でしょうか。

 

FLLは、正解のない課題に楽しみながら取り組める大変素晴らしいプログラムです。

子どもたちが作るロボットに正解はありません。またプロジェクトプレゼンテーションにも正解はありません。子どもたちは自由に考え、発言し、他者の発言に耳を傾けなければ、チームとして画期的なアイディアにたどり着くことができません。

正しくないと思われることが、実は正しかったりすることだってあります。

しかし、子どもたちは正しくないことは失敗で、失敗はしたくないと考えているようです。

 

幸いなことに子どもたちは失敗が許されます。これはラッキーなことです。

なぜならば、失敗は「ある条件の下では目的とは異なる結果になる」という事実を知る術であるからです。責任を負う大人になってからでは、この経験値を上げるのはなかなか大変ですよね。

失敗が許されている間に、正解のない未知のことに対してどんどん挑戦して欲しいと願っています。

 

余談ですが、TEDの中で私がもっとも好きな発表

”ボー・ロット&エイミー・オトゥール”の「科学は万人のもの (子どもも含む)」

の中で「遊びは人間の活動の中で不確かさが称えられる唯一のものです」という言葉があります。

未知へのことに挑戦するには遊びが一番。まさに子どもたちにうってつけの言葉だと思います。

 

 

STEMONに参画した理由

話を戻します。

 

子どもたちが正解のないものに挑戦する機会が少ないのではないかという心配する中、STEMONをWEBで目にしました。

WEBには手を動かしながら考え、遊びの要素がふんだんに盛り込まれているカリキュラムが紹介されています。

実際に手を動かすと思っていたとおりにできなかったり、分かっていたつもりが実は分かっていなかったりということに気づくことがあります。

このSTEMONのカリキュラムに賛同し、STEMONのメンバーとしてご一緒させていただけることになり、今年4月にスタートしたプログラミング&ロボティクス「競技会クラス」コースのカリキュラム作成からレッスンまでを担当させていただくことになりました。

これまでSTEMONで学び、そしていろんな「失敗」をしてきたメンバーと一緒に世界を目指したいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

【主な経歴】

2010年4月 任意団体ithinkplusを立ち上げ、代表者を務める。

2011年5月 指導するチーム「Falcons」がFLL国内大会で上位入賞し、日本代表としてFLL国際大会(Open European Championship・オランダ)に出場。 リサーチプレゼンテーション3位。

2012年4月 Falconsが国内大会で優勝し、日本代表としてFLL国際大会(FLL World Festival・アメリカ)に出場。世界中で約2万チームがエントリーする中、日本チームとして初の世界一(総合優勝)を飾る。コーチとしても1st place of Adult Coach Award(最優秀コーチ賞)を受賞。

2012年6月 レゴ® エデュケーション カンファレンスに2012にてAppreciation Award 2012を受賞。

2013年4月 Falconsが国内大会で優勝し、日本代表としてFLL国際大会(FLL World Festival・アメリカ)に出場。メカニカルデザイン賞2位を受賞。

2013年6月 メンバーの受験等により任意団体ithinkplusの活動を休止。

2013年7月 デジタルハリウッド大学大学院 未来ロボットプロジェクトの外部講師を務める。

2014年4月 公益財団法人ギャラリーエークワッドの支援を受けithinkplusの活動を再開。

2014年6月 信州大学教育学部 社会教育演習の外部講師を務める。

2016年1月 公益財団法人ギャラリーエークワッドにて講演「子どもの好奇心に灯をつけるスイッチ」を行う。

2016年7月 指導するチーム「侍7」が国内大会で上位入賞し、日本代表としてFLL国際大会(Asia-Pacific Open Championship・オーストラリア)に出場。総合優勝を果たす。日本チームとして2度目の総合優勝を飾る。2018年4月末現在、FLL国際大会で総合優勝した日本チームはFalconsと侍7の2チームのみである。

2018年1月 トークイベント「公立中高からの米国大学進学 ~ふつうの家庭で実現できる、子どもの後押しと費用の解決~」に登壇。

2018年4月 FLLの上位カテゴリであるFIRST Robotics Competition(FRC)のチーム「SAKURA Tempesta」のメンターとして世界大会に出場。Rookie Inspiration Award sponsored by National Instruments を受賞。

 

日本STEM教育学会、および宇宙エレベーター協会会員